もう一つの仏教学・禅学

新大乗ー現代の仏教を考える会

   
女性と仏教

−平塚らいてふ

らいてふの現代的意義

 今まで見てきましたように、禅(道、人間の本質)そのもの、それを表現した芭蕉、漱石、世阿弥、千利休、宮沢賢治などを、今でも男性の僧侶、学者、知識人はわかってくれていません。女性である平塚らいてふは、禅を行じて、人間の本質の尊厳性と平等性を悟り、女性を人間として解放すべく活動しました。らいてふは「失われた女の「人間性」を女自身の力でとりかえす運動だったといえるでしょう。」と言っていますが、はたして現代、女性はまったく人間性をとりかえし、束縛から解放されているのでしょうか。
 今でも、女性は男性より劣るもの、重要な仕事は男のするものだということを無意識のうちに社会から植え付けられていないでしょうか。らいてふは、あのように困難な時代に勇敢に、地道に女性解放のために重要な活動をしました。真実の自己にめざめた女性には大きな力があります。自分を縛らなければ、潜める太陽である女性です。
 らいてふは、若い人に「あなた自身を知れ」と訴えています。女性が禅を修めて、政治に、教育に、宗教に、各種の日本伝統文化にかかわる事業に、精神医学会に進出していただくならば、自己の欲や名誉や金もうけを優先する「まっくろいおおきなもの」(宮沢賢治)がいくつも存在しているような社会ではなく、すべての人間の尊厳を認めた明るいひとつの住みよい世界になることでしょう。
 僧侶や学者によって主張される魅力のない仏教や禅ではなくて、らいてふが味わったように実際は魅力あるものです。新しい学問が、仏教や禅がなぜ、そのような力強さ、喜びをもたらすかの真意を解明する必要があります。
   
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